1991年に公開され、今も伝説的な一作として評価されているターミネーター2。この”正当な続編”として制作された『ターミネーター ニューフェイト』を見てきました。アクション作品単体として見れば、さすがに良く出来ているなと感じる一方で、前作の続編として考えると残念だったな、というのが本作を見ての感想でした。
期待せざるを得ないけど、ポスター画像が…
- シュワちゃん出演
- 本作はターミネーター2の正当な続編。これまでのターミネーター3以降の話は無かった事になっている
- サラ・コナー役のリンダ・ハミルトン出演
- シリーズの生みの親ジェームズ・キャメロンがプロデュース
- 監督はデッドプールのティムミラー、脚本はダークナイト三部作のデヴィッド・S・ゴイヤー
ここまで揃っていれば、期待せずにはいられないでしょう。特に3以降を無かった事にしている点は知った時は私も笑いました。
ただこのポスター画像、何故か自分にはいわゆる”クソコラ”画像にしか見えなくて、何か嫌な予感がしたんですよね…。
↑特にグレースの守っている感の不自然さ、シュワちゃんが普通のおじいちゃんだけど…とクソコラ感
もちろんこの上にタイトルやキャッチコピーが載ってきて例えばホームページは↓の様にアレンジされると違和感は少なくなるんですが…。
あらすじ
ある日、未来から来たターミネーター“REV-9”(ガブリエル・ルナ)が、メキシコシティの自動車工場で働いている21歳の女性ダニー(ナタリア・レイエス)と弟のミゲルに襲い掛かる。ダニーとミゲルは強化型兵士のグレース(マッケンジー・デイヴィス)に救われ、 何とか工場から脱出した。そして彼らをしつこく追跡するREV-9の前に、サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)が現れる。
映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』本予告【新たな運命編】11月8日(金)公開
本編のおさらい
- ターミネーター2から数年後、ジョン・コナーは未来から送り込まれた別のT800にあっさり射殺される
- それ以来ターミネーター狩を行なってきた母
- 母の携帯にはターミネーターが現れる座標、日時が記されたメールが配信されており、それを元にターミネーター狩をしてきた
- 未来で人類のリーダーとなるダニーを殺す為にREV-9が、そしてダニーを守る為に強化型の兵士グレースがそれぞれ未来から送り込まれる
- サラ・コナーのメールを逆探知した先の座標ととグレースの体に刻まれた住所が一致
- その先の住所にT-800が滞在
- このT-800はジョンコナーを殺したターミネーターだが、シングルマザーの母子に出会い、それから20年人間の様に生活
- ダニーら一行が訪れた事を機に妻・子を避難させる。この時にT800はもう一生会えないと伝え、妻・子と別れる
- REV-9とダニー達との死闘
- グレースの動力源でターミネーターを倒せるとの事で、その動力源を引き抜き、グレースは死亡
- 絶対ピンチの時にT-800が現れ、最後のトドメを刺し、とりあえずハッピーエンド
登場キャラの魅力
サラ・コナーの無双感
20年以上ターミネーター狩りをしてきただけあって、もはやこなれてる感がありました。手榴弾ポイッとやった後のアイル・ビー・バックとかランチャーをぶっ放す感じ本当にカッコ良かった。この後一人で追い込んでいれば簡単にREV-9倒していたんじゃないか、と思わせるほどの安定感でしたね。
これまでで最もチートなターミネーター
ターミネーター1の絶対的な硬さ・力と2での液体での変化特性を持ち、さらに分離出来るとか、もはやチートでしょ、っていうのが今回のREV-9。分離した二体で来られちゃーどうしようもないですね。
パソコン系統にも強くて、ネットワークに入り込めば、監視カメラ、軍のドローンなど意のままに操れ、どこに居るか特定してしまう現代版にアレンジされたターミネーターですか。大量に人が出て来れば、手先を剣にしてグッサグッサ刺しまくっていったシーン、ちょっと気持ち良かったですね。飛行機から落ち、一般家庭に落ちた際に、庭を壊して悪かったみたいな事言って、若干人間的な一面も見えました。
“人間”であるグレース
強化型とは言え、人間であるグレースが銃だけでは無く、チェーンだの、ポールだの原始的な武器でもREV-9と互角にやりあってる感じは人間側として興奮しました。これまでのターミネーターシリーズ同様、何があっても絶対に対象者を守るという信念の元、何度瀕死に陥ってもダニーを守ってきました。序盤で裸での登場には無表情でしたが、収容所で暴れた際に『私の秘部を見たわね』と女性としての一面も少しだけ出ていたのが面白かったですね。
がっかりポイント
オマージュ多くない?
REV-9、グレースが裸で登場するなり、アイル・ビー・バックは良いとしても、全体的な構成はこれまで通り。ターミネーターから逃げ、見つかり、戦う。その度に消耗して、追い詰められるが、最終的に倒すという構造。またシーンとしてもこれまでのオマージュと思えるシーンが多かったですよね。
- 序盤で遅い車に乗る人間側に対して装甲車で追い付くREV-9
- ヘリで追いかけてくるREV-9
- ラストシーンでT-800が最後のとどめを刺す際に、数十メートル下をREV-9一緒に落下。(その際に一瞬親指を上げてましたよね)
- その後サラ・コナーとダニーがターミネーター達を見下ろしている画
これ以外にも前作のオマージュを感じさせるシーンが多くあったと思います。結局それやった所でどうなの?と後半は疑問に感じながら見ていましたね。
後半でグレースが死んでしまうシーンで劇場では泣いている人、結構いました。グレースがダニーに助けられた時の事、共に戦っていた時の頃の回想が入っていて、彼女を絶対に守るっていう理由付けはしっかり出来ていましたし、泣くのは理解出来ます。でも自分はこの頃ターミネーター2との比較がずっと頭をよぎっていた為か、全然泣けなかったんですよね。ターミネーター2では何度見てもあの親指立てで泣いてしまうのになぁ…。
後半ずっと暗くてよく分からない
これはアクション映画全体に言いたいのですが、夜のアクションシーンを行うならもっと見やすくして欲しいなぁ、と切に思います。最近見た映画で思い出したのが、スパイダーマン ホームカミング。
この動画は加工する前の動画と一緒にされていますが、劇場では相当見にくかったです。全体的に暗い中で、ビュンビュンとキャラクターが俊敏に動かれても、分かりにくいんですよね。物語の構成とか場面の狙いとか色々あるんでしょうが、もっと見やすくして欲しかった。
本作では後半では飛行機、ダムと戦いの場を変えていきました。例えばREV-9が車の内部をグサグサ刺してくる事は分かるし、パラシュートをREV-9の覆わせた事も分かります。でも何をやったか分かる程度でしか無い。
車で空を降下なんてワイルド・スピードとか特攻野郎Aチームとかを思い出しましたよ。こっちのシーンは見やすくて面白かったなぁ…。
映画『ワイルド・スピードSKY MISSION』スカイダイブトレーラー
REV-9との戦闘シーン、もっとパターンあったんじゃない?
今回の新型ターミネーターのREV-9はもっと分離を生かした戦い方があったのでは無いかな、と思ってしまいました。例えば
骨格だけのREV-9 対 サラ・コナー/ダニーペア
液体金属のREV-9 対 グレース・T-800
に分かれてもっと戦闘のシーンを増やすとか。
結局最後そんな感じやん、前の倒し方と対して変わってないじゃん、っていう印象が強かったです。
シュワちゃんのおまけ感・機械がヒゲを生やす理由…
今回はサラ・コナーとグレースがメインで守っている感じがあって、T-800はオマケ感が強かったですよね。そして公開前からの疑問であった機械がヒゲを生やしたり、老けた様に見えてるのは出会った母子と共に生活する為に整形をしたって事でしょうか。『肉体関係は無い』らしいですが、よく20年以上バレなかったな…。
↑今回はただの渋いおじいちゃんだったシュワちゃん
またその顔の感じと全体的な動きがやっぱりおじいちゃん感が否めなかった。どうせオマージュするなら、やっぱり絶対的な強さのあるシュワちゃんが見たかった…。ターミネーターとはそういうものだと思ったんだけどなぁ…。家を出る際に黒のサングラスがあったのに何故掛け無かったんでしょうか。
前作を意識しすぎるあまりに消化不良?
ジョン・コナーがあっさり殺されて、新たな人類のリーダーがダニーだの、T-800がちょこちょこ襲来だのそういう事は納得いかないものの、まぁしょうがないか、と受け入れる事は出来たんですよね。ただやっぱり前作を引きずり過ぎている感が否めなくて、新しい作品として楽しめなかったですね。だからこそ、前作では追い込まれていく緊張感、T-1000の特性を活かしたアイディア溢れる戦い方、本来感情は芽生えない機械と少年の親子を彷彿させる関係…色々あったじゃないですか。ご覧になった方、いかがでしたでしょうか。