2年間使っていた第1世代AirPodsの電池がへたり、今回はソニー WF-1000XM3を購入しました。使用してから1週間が経ちましたので、AirPodsとの違いを含めてレビューしていきます。
2019年夏のフルワイヤレスイヤフォンでベストバイ
使用してから1週間経ちましたが、『買って良かった』の一言に尽きます。現在 フルワイヤレスのイヤフォンは玉石混交の状況にありますが、間違い無くトップ3を争うクオリティの高さでしょう。先にAirPodsとの違いを表にすると私は下記表の様に評価しました。
ソニー WF-1000XM3 | アップル AirPods | |
---|---|---|
操作 | ○ | ◎ |
遮音 | ◎ | ☓ |
音質 | ◎ | △ |
接続性 | ○ | ◎ |
通話性能 | △ | ○ |
防水 | ☓ | ☓ |
目次
- 2019年夏のフルワイヤレスイヤフォンでベストバイ
- 商品概要
- イヤフォン・ケースデザイン
- 慣れが必要なタッチ操作
- "業界最高クラス"に偽り無しのノイズキャンセリング性能
- “聞く”から”聴く”にさせる超高音質
- 極端な人混みを避ければ、接続性も問題無し
- スペック通りのバッテリーも、残量の確認方法には課題
- アプリは立ち上がりに難ありも、使用頻度は少なめ
- その他
- まとめ
商品概要
- タッチセンサー操作の完全ワイヤレスイヤフォン
-
外音取り込み機能
- 業界最高クラスのノイズキャンセル
- ハイレゾ相当高音質
- 単品6時間/ケース込で24時間駆動
- Blutooth信号の左右同時転送で安定した接続性
- 防水機能は非対応
イヤフォン・ケースデザイン
AirPodsと比べるとうどん感は無いですよね。好き嫌いはあまり出ないデザインでしょうか。色は黒とプラチナシルバーの2色展開。ケースに関してはAirPodsと同様、マグネット形式でフタもカチッと閉まります。ケースの質感が非常に美しいです。
ソニー WF 1000XM3本体ケースとノイズキャンセリング効果について
慣れが必要なタッチ操作
操作全般
再生、一時停止、ノイズキャンセリングの切り替えなど全て本体側面のパネル部分をタップして行います。例えば上の図の場合、右側に再生操作を割り当て、左側にノイズキャンセリングの切り替えを割り当てています。その逆、また左右共に再生の操作の割当も可能で、設定は全てアプリから行います。
イヤフォンを装着しているか否かのセンサーもあり、外したら音楽の一時停止機能も搭載しています(アプリで一時停止しない設定も可)。本体を外していれば、その間センサー部分をいくら触れても作動はしません。
ノイズキャンセリングモード操作
タッチ操作をノイズキャンセリングモードにした場合は、ご覧の様にモードが切り替わっていきます。使い方の一例としては電車の中ではノイズキャンセリングモードで、駅に到着後は外音取り込みモードに切り替え。これらの流れをイヤフォンにタップするだけで出来るので、操作もよく考えられていますね。
ボタンを押しっぱなしにするとその間中、音楽の音量が一気に下がるクイックアテンションモードも搭載しています。電車の中のアナウンスをしっかり聞きたい時に便利です。
使用感
AirPodsの場合は本体を叩けばいいので、指を耳の辺りに持っていって何となくここらへんかな?という位の感覚でトントンとタップするだけで操作出来ます。一方、WF-1000XM3の場合は側面のタッチセンサー部分をタップしなければいけません。
私は中指を本体上部に引っ掛けて人差し指で操作をする事で、1回タップの再生・一時停止は作動するのですが、2回タップの早送り、3回タップの巻き戻しは結構難しく、成功する確率は今の所半々といった所です。この操作感は慣れが必要かな?という所ですね。
"業界最高クラス"に偽り無しのノイズキャンセリング性能
ノイズキャンセルの性能は本当に素晴らしかったです。例えるなら自分の周りに小さな箱や膜が出来て遮音している様なそんな感覚でした。電車内でのイメージはこちらの動画の45秒〜ご覧ください。
電車内でのイメージ
全体的には低音がかなりカットされ、空調音はほぼ聞こえなくなります。車輪のガタン、ガタンという高音のみがやや残るイメージです。音楽を流すと車掌のアナウンスも聞こえづらくなり、慣れている路線でないと駅名は分かりません。青春18きっぷのお供にもバッチリだと思いますが、乗り過ごしには注意が必要です。
AirPodsの場合は周囲の音がかなり聞こえてくるので電車の音量と音楽の音量が同じ位の印象です。一方でWF-1000XM3の場合は自分の周りに膜、もしくは簡易的な部屋が出来るイメージです。その為、電車の音量と音楽の比率は1:9位の印象です。本当に素晴らしかったです。
喫茶店での利用
電車の場合と同様で空調機の音がほぼ消されています。人の話し声は完全に消されないですが音楽を再生すれば、ほぼ聞こえなくなります。イヤフォンを外してみるとこういう音が聞こえてたんだ、と新たな発見もありました。
全体的な使用感など
AirPodsと比べると耳の穴にフィットさせるイヤーピースを採用しており、ノーマルの状態でも遮音性は高いです。そこへノイズキャンセリング機能が相まって、業界最高クラスという謳い文句に偽りはありません。音楽を楽しむ環境を整えてくれているなぁと感動しました。機会が無かったのでまだ試してはいませんが、飛行機での利用でもその力を発揮する事と思います。
一部のレビューで風切り音が気になる、という声がありましたが、外音を取り込まず、ノイズキャンセル機能オフの時であれば気にはなりませんでした。ただいずれの場合でもその遮音性故に外を歩く際は車のエンジン音などもだいぶ聞こえなくなりますので、注意が必要です。
“聞く”から”聴く”にさせる超高音質
音質も文句無しでした。ノイズキャンセル機能に関しては、自分の周りに膜が出来ていると記載しましたが、音質に関してはその逆で、音の膜が取れてクリアになり、音が鳴って場所も分かる、そんな印象でした。
こちらの動画を5秒ほどご覧ください。
下手から上手へ舞台の幕が開いていきますが、 例えるなら幕が開く前の状態で音が鳴っているのがAirPodsで、幕が開いてから音が鳴っているのがWF-1000XM3という印象です。
私はメタルが好きで、その中でもドラムの音を重視するんですが、非常にクリアに聞こえて、音の輪郭がはっきり見えました。AirPodsの場合は何となく音が聞こえていた、という状態でしたが、WF-1000XM3の場合は楽器自体が目の前に見えて、音が鳴っているイメージです。ツーバスになってドコドコと激しくなっても、もっさりせずにしっかりと伝えてくれます。タムの音もしっかりと左右を立体的に流れます。シンバルも微妙に違う種類のものを叩いている事が分かります。
ギター、ベースの場合も同様で、演奏中の指の動きが見えてきます。ボーカル、楽器それぞれの音が分離されて出力されています。ですから普段はドラムの音に注目していますが、他の音にもしっかりと注目出来る。だからこんな音だったんだ!と音楽の楽しみを再発見出来た次第です。
これまでAirPodsは音楽が流れているのを聞いていたのに比べ、WF-1000XM3は楽器やボーカルの声に注目しながら聴いて楽しめる、そんな素敵な音質に仕上がっています。
イコライザーで自分好みに調整
専用アプリで好みの音質に変更も可能です。8種類のプリセット以外に自分好みにも2種類設定を記憶しておく事ができます。私はメタル中心の為、重低音重視になるんですが、長時間聴いていると疲れるほど低音効果を出せます。
極端な人混みを避ければ、接続性も問題無し
多くのワイヤレスイヤフォンの場合は片耳で音を受信して、それをもう片方に音を伝えるという方式を採用していますが、WF-1000XM3の場合片方ずつ音を受信しています。その為か、全体的には接続性も安定していました、ちなみにAirPodsもこの方式を採用している様です。
細かく見ていくと、イヤフォンを両耳に装着してからiPhoneと接続するのが10秒前後。一方で第1世代のAirPodsで5秒前後と、接続の時間はやや長めです。
家や喫茶店など座っての使用に関しては一切不安感を感じる場面はありません。スマホを机に置いて、洗濯、料理など壁などの障害物を挟んで離れる場合も安定して接続出来ています。
満員電車の中でもはほぼ途切れる事なく安定して使えていました。唯一弱点だったのは人混みの中です。台風接近時の中継で有名な新宿駅南口で実験してみました。
10分ほど音楽を再生しながら確認してみましたが、単純計算で約15秒に一度はプチっと音が途切れていました。他のBlutooth機器が静止している場合は強くても、相手側が動いていると弱くなるのでしょうか…。ただ、プチっとなっても接続自体が切れてBlutooth設定からやり直しをしなければいけなくなる事はありません。一瞬音が聞こえなくなるだけで、その後は音楽が流れ続けます。
スペック通りのバッテリーも、残量の確認方法には課題
本体を装着するとバッテリーの残量が何パーセントというアナウンスが左右それぞれから流れます 。本体のバッテリー残量が20%を切ると充電を促す旨のメッセージが流れ、以降は20分程度ごとに一度ポーンと通知音で知らせてくれます。
iPhone の場合はホーム画面を横にスワイプさせてもイヤフォンの残量が出てきます。他にもアプリでその残量が表示されます。ただこの標記がかなり適当で、50%と表示されていたのに直後に20%と表示されることがありました。あくまでも目安という認識をしておいた方がいいです。
ケース自体のバッテリー容量はさらに分かりにくいです。説明書によると
• 本機を充電ケースにセットしたとき、充電ケースの赤ランプが点滅してすぐに消灯する場合は、 充電ケースの充電式電池の残量が少なく本機を充電できません。
• 本機を充電ケースにセットしても、充電ケースの赤ランプが点灯/点滅しない場合は、充電 ケースの充電式電池の残量がありません。
要するに本体正面のランプが点滅か消滅していた場合は充電をしろということで、ケースに何%の残量があるという所までは分かりません。これは完全にAirPodsの方に軍配という所でした。iPhoneとAirPods、同じメーカー同士だからこその出来る技もあるのかもしれませんが、次回はせめて本体のバッテリー残量が分かる様にして欲しい所です。
アプリは立ち上がりに難ありも、使用頻度は少なめ
ご覧の様にアプリの評価はすこぶる悪いですね。私も使用した実感した点で言うと、立ち上がりがとにかく遅いのが不満でした。
アプリを立ち上げる度にこの画面が7〜8秒間続きます。ストレスですよね?と思いきや…文句を挙げるならその程度でした。そもそもこのアプリ、あまり使う機会が無く、私はイコライザーを切り替える位しか使っていなかったので、そこまで気にならなかったんです。これまで書かなかったアプリの機能を紹介します。
行動をアプリが検知し、外音コントロールの設定を自動で切り替え
これをオンにすると位置情報機能を使って、本人の行動を検出し、それに合わせた外音取り込みの設定を自動で行ってくれるというものです。
ただ位置情報の使用により、電池を消耗されても困ります。また先程も書きましたが、イヤフォンへのタップ操作でノイズキャンセリング、外音取り込みの切り替えは出来るので、これは通常オフにしています。
接続優先と音質優先との音質切り替え
AirPodsを2年使ってた為か、接続優先モードで十分に高音質と感じています。また私レベルの耳ではこの2つのモードの音の違いまでは分かりませんでした。
その他
動画遅延
You Tubeのみの使用ですが、気になった事はありません。
通話機能
相手の声に関しては問題ありません。マイク性能の方は評価が難しいですが、AirPodsと比べると、やや相手が聞き取りにくい事が多い様な印象でした。また電話を自宅から行うのと喫茶店で行う方とで比較してみましたが、喫茶店の方が相手が聞き取りにくい様な印象はありました。喫茶店の方から掛けた場合はノイズがあり、聞き取りにくい、という印象を持たれた様です。ノイズキャンセリング機能との兼ね合いがあるんでしょうか。ここら辺は追記していきたいと思います。
装着感
イヤフォン本体も邪魔にならず装着感は快適です。一方これまでAirPodsに慣れていた為、イヤーピースをピッタリと耳の穴に長時間密着する事にまだ違和感はあり、痒くなって外す事があります。これはある程度慣れで何とかなっていくとは思っています。
他機器との切り替え
使用しているMacBook Proとの切り替えを行ってみましたが、こちらも問題ありません。メーカーによるとBlutoothの優先接続の様な機能は無く、最後に接続した機器に繋がる様になっているとの事でした。
まとめ
長々と書いてきましたのでまとめます。
メリットとしては
- 自分だけの空間が出来る様なノイズキャンセリング機能
- その上で楽器やボーカルの音を再発見出来る超高音質
- スペック通りのバッテリー
デメリットとしては
- タッチ操作がまだ慣れず誤作動が多い
- バッテリー残量は分かりづらい
- 通話時のマイク性能がやや弱い
- 防水無し(AirPodsもですが…)
当然AirPodsを完全にカバー出来る、という所までには至っていません。AirPodsの良さも当然あり、使用用途やユーザーが期待する面から全ての人に合う訳ではありません。ただ自分にとっては音質面での感動が最も大きく買って良かったと感じられる商品でした。
AirPodsが出た当初はiPhoneのおまけのイヤフォンと一緒でしょ?とバカにしていた2年前…。ただ、完全ワイヤレス、ケースから取り出してすぐに再生出来る便利さに感動してから、すっかりAirPodsがイヤフォンの当たり前になっていました。そんな中でWF-1000XM3はその音質の良さから音楽を聴く楽しみを再発見出来た、そんな素敵なイヤフォンでした。今回のこの記事が完全ワイヤレスイヤフォン選びの参考になれば幸いです。
※品切れ状態が続いている為か、定価より高くなっている場合もありますので、ご注意下さい。